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■      2005/11/14      第24号
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 今日は、綜研化学株式会社(英文社名:Soken Chemical & EngineeringCo.Ltd.)です。

 綜研化学は、1948年創立以来、粘着剤や微粉体といった化学品を製造しています。用途が広がり業績は堅調ですが、世界的な競争は激しく、新技術や新事業が生まれる革新的な風土が必要でした。

 そこで、マルチトラックシステムと呼ぶ人事システムを作ることにしました。成果の質によって異なる賃金・評価体系を設定し、社員のチャレンジ意欲によって昇格する仕組みです。

 主要製品:

 粘着剤

 一般用途(両面テープ用、ラベル用、保護テープ用)
 IT関連(光学ディスプレイ用)
 環境対応型(シロップ、エマルジョン タイプ)

 微粉体

 光学フィルム用機能剤(光拡散、凸凹付与、防眩)
 樹脂用改質剤(ブロッキング防止、バスタブ低収縮剤)
 化粧品用添加剤、LCD用接着粒子
 
 機能材

 機能性付与型コーティング材
 樹脂用添加剤
 表示材料、電子材料向けバインダー
 代替可塑剤、塗膜・シート材料

 加工製品

 機能性テープ(異方導電性粘着テープ、両面テープ、光学用粘着シート)

 装置システム

 大型翼攪拌装置、自動制御システム
 濾過機、調合装置
 熱媒体、熱媒ボイラー

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■経営のポイント

◇これまでの年功型システム

 これまでの年功型システムでは、意欲ある若手社員をチームリーダーに据えたり、外部から優秀な研究者を受け入れようとすると、ろいろな障害が起こりました。

 若手社員をチームリーダーにすると、部下が年上の場合に年収の逆転現象が起こります。

 外部から研究者を受け入れようすると、等級が決まっているため貢献度に応じた報酬を支払えません。

 そこで、一部に裁量労働制を取り入れたり、社外での人脈作りを支援する社外専門家制度を設置したり、目標管理制度を導入して賞与を実績に連動させたりしました。

 しかし、年功制がベースにある限り効果は限定的だったようです。また、研究職と製造職を、同じ基準で評価するのも、そもそも無理がありました。

◇マルチトラックシステム

 これらの問題点を解決し、さらに業績成長を加速するには、どんな社員が会社にとって大事なのかを明確にし、差をつけていく必要があります。

 今回綜研化学が取り入れたのが、複数の賃金体系と評価システムを設け、役割や人材のタイプによって評価基準を異にする、マルチトラックシステムでした。

 最初に2004年4月から役員クラスに適用し、2005年4月から全社員に適用しました。

 このシステムでは、全社員を7つの職群に分けることにしました。

・事業創発職:新技術の開発や新事業の創出につながる特定のテーマを 持って申請し、任期制で2〜3年で成果を上げることを約束します。

 任期中は年俸制で、見込まれる貢献度に応じて自由に年収が設定できます。

・事業支援職:研究の道を追求します。

・経営資源管理職:会社の経営の核となります。

・事業基幹職:チームやプロジェクトの管理にあたります。

・支援職:事務や補助的作業を行います。

・技能職:製造部門などで定型的な業務を担当します。

・総合職:3年目までの新入社員が属します。

 職群間の移動は社員の自発性を重視します。全社員は毎年12月に職務チャレンジ申告書を提出します。

 申告書には、1年間の成果や今後の目標、職群転換の希望などを書き込み、上司との面談に臨み、上司はコメントを書き加え、審査会に申告書を回します。毎年3月に審査が行われ、4月に職群の移動が起こります。

 これまでのように、年数を経れば昇格することはなく、高い目標にチャレンジする意欲によって職群転換が認められ、職群が変わると年収の上限や昇給ペースが変化します。

■会社データ:

 綜研化学株式会社

 創  立 昭和23年9月2日
 資 本 金 13億5900万円
 株 式 ジャスダック証券取引所上場(コードNo.4972)
 売 上 高 127億円 (平成17年3月期)
 従 業 員 167名  (平成17年3月末)

 所在地 本社

 東京都豊島区高田3-29-5 〒171-8531
 TEL (03) 3983-3171(代)
 FAX (03) 3988-9216

 大阪営業所

 大阪府大阪市北区堂島浜1-2-6 〒530-0004
 TEL (06) 6348-0225(代)
 FAX (06) 6348-0201

 狭山事業所(研究所)

 埼玉県狭山市広瀬東1-13-1 〒350-1320
 TEL (04) 2954-3261(代)
 FAX (04) 2954-4085

参照先 → http://www.soken-ce.co.jp/

■関連企業

 綜研テクニックス株式会社

 浜岡綜研株式会社

 狭山綜研株式会社

 Soken Chemical Singapore Pte.Ltd.

 綜研化学(蘇州)有限公司

 Soken Chemical America,Inc.

 寧波綜研化学有限公司 http://www.ningbo-soken.com

 盤錦遼河綜研化学有限公司 http://www.liaohe-soken.com

 常州綜研加熱炉有限公司 http://www.czboiler.com

■企業理念:

 1. わたしたちは常に誠実であるとともに、創造と工夫に情熱と責任を持って挑戦しつづけます。
 2. 地球環境の保全を指向しつつ、社会に役立つ革新的製品を提供します。
 3. お客様には心からの満足を、株主の方々には共感を、そしてわたしたちは働く喜びを実現していくことに最善を尽くします。

■倫理綱領

 1. 当社は、社員一人一人の自律性を深め、倫理性の高い優れた企業をめざす。
 2.当社は、法令等を順守し社会的規範や良識に基づいて行動する。
 3. 当社は、すべての事業活動において自由競争のルールに従い、公正な取引を行なう。
 4. 当社は、適時適切な企業情報を開示し、高い信頼性と透明性の保持に努める。
 5. 当社は、あらゆる反社会的勢力および団体からの不法・不当な要求には応じず、一切の関係を持たない。
 6. 当社は、お互いの人格・人権を尊重し、不当な差別のない職場環境を確保する。
 7. 当社は、地球環境保全と安全確保に努め、豊かで住みやすい社会づくりに貢献する。

■会社沿革:

 1948 「株式会社綜合加工研究所」設立
 1953 社名を「綜研化学株式会社」に変更
 1961 埼玉県狭山市に工場地30,000平米を取得し、製造工場と研究施設を建設
 1984 中国の塗料工場近代化への協力開始
 1989 BACCS-100導入による最先端の粘着剤製造工場を狭山に建設
 1990 静岡県浜岡町に工場用地38,000平米を取得
 1993 増資 新資本金 4億4700万円浜岡事業所開設
 1994 中国プロジェクト発足
 1995 合弁会社「寧波綜研化学」を中国浙江省寧波市に設立
 1996 合弁会社「盤錦華日化学(現盤錦遼河綜研化学)」を中国遼寧省盤錦市に設立
 1998 綜研テクニックス(株)を設立本社ビル増改築工事 竣工
 1999 狭山事業所に医薬品原体製造工場を建設 浜岡事業所に最先端の粘着剤製造工場を建設
 2000 シンガポール駐在事務所開設 狭山事業所に新微粉体製造工場を建設 合作会社「常州綜研加熱炉」を中国江蘇省常州市に設立
 2001 浜岡綜研(株)を設立 JASDAQ(店頭)市場に上場 増資 新資本金 5億9000万円 綜研化学シンガポール(株)を設立
 2002 綜研化学(蘇州)有限公司を中国江蘇省蘇州市に設立
 2004 増資 新資本金 13億5900万円 狭山綜研(株)を設立 綜研化学アメリカ(株)を設立 装置システム(オリジナル)事業を綜研テクニックス(株)へ譲渡

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 賃金制度は、人事考課制度と絡ませて、情実を排して、公平、公正に考課し、社員のやる気を喚起することがポイントではないかと思います。

 綜研科学のように、研究職と製造職と一般職が存在するケースは、多くの企業で見られると思いますが、従来の年功賃金に縛られているケースが少なくないのではないでしょうか。

 マルチトラックという人事システムは、これに一石を投じるものだと考えられます。

 このシステムでは、職群間の移動をスムーズに行うことがポイントではないでしょうか。

■年功序列給制度

 年功序列給制度は、年齢や勤続年数とともに自動的に賃金が上昇し、同時に等級、役職も上昇していくという制度です。現在でもこの制度を維持しようという企業も多く、賃金制度の主流の1つだと思います。
 日本は”黄金の60年代”と言われた1960年代から、技術立国、経済大国への道をひた走りました。
 1970年代には高度成長が続き、1980年代には”ジャパン・アズ・No.1”と言われるまでになりました。 
 年功序列給制度は、このような成長期の右肩上がりの時代には多くの支持を集めた制度です。
 そかしその後、人口構成のバランスが崩れてポストが不足し、不況にあって賃金の自動的な上昇が困難になりました。
 この制度では、ポストと賃金が社員をやる気にさせる主なインセンティブであったように思います。

■職能資格給制度

 職能資格給制度は、従業員の職務遂行能力を賃金などの処遇の中心に据える制度です。現在の賃金制度の主流の1つだと思います。
 職能資格制度に基づいた賃金が職能給で、処遇だけでなく、人事評価、人材育成も、職能資格制度が基準になります。
 この制度は、年功序列型人事制度を残しながら移行をスムースにできるという制度でした。
 会社の人材ビジョンを制度設計に具体化し、従業員への経営側の期待度を明確化し、各自の能力開発の指標をもうけて、従業員の一体感の醸成とロイヤリティー向上の促進を図りました。
 この制度では、ポストと賃金に加えて、職能が社員をやる気にさせる主なインセンティブではないかと思います。
 しかし、近年、年功的な運用がもたらす賃金と能力のミスマッチや、課題形成能力や専門性の評価が困難になるなど、さまざまな問題点が指摘されるようになっています。

■成果主義賃金制度

 成果主義賃金制度は、従業員の成果=会社の業績への貢献度に応じた賃金を支払う制度です。
 この制度においては、従来高給をもらっていた勤続年数の長い従業員でも、会社の業績への貢献度が低ければ安い賃金しかもらえません。
 逆に勤続年数の短い従業員でも、ヤル気と実力があれば高給をもらうことができます。
 この制度では、ポストと賃金に加えて、成果が社員をやる気にさせる主なインセンティブではないかと思います。
 この制度では、早期に結果を出すことを求めがちになり、長期的な人材育成が困難になるという欠点があります。

 なお、この欠点を改善することのできる、成果とコンピテンシーと年功をミックスした、コンピテンシー人事制度もあります。
 力量給+経験給+年齢給のような形で、能力が成果につながるように行動化されているかどうかが力量給を形成します。
 
■特徴ある賃金制度

 このメルマガで取り上げた、マルチトラック人事システムはここに位置付けられるのではないかと思います。
 綜研化学では、20年ぐらい試行錯誤してきて、成果を重視しようとして社員に目標を書かせることでへとへとになったこともあったようです。
 社員の積極性を引き出すにはどうしたらよいのかが、長年のテーマでした。
 業績は堅調ですが、世界的な競争は激しく、新技術や新事業が生まれる革新的な風土が必要でした。
 きっかけになったのは、2002年に発表した中期経営計画だったそうです。
 年2ケタ以上の売上高成長を目標としましたが、現状の風土では目標達成は難しかったようです。
 そこで、構築したのがマルチトラックシステムでした。成果の質によって異なる賃金・評価体系を設定し、社員のチャレンジ意欲によって昇格する仕組みとしました。

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$        編    集    後   記
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 マルチトラックという用語は、人事システムとしては新造語ではないでしょうか。

 日本総研のホームページで、綜研化学のことが紹介されています。

 http://www.jri.co.jp/consul/pjcase/case_009/

 外交関係では、マルチトラック・ディプロマシー (Multi-Track Diplomacy)という用語があるようです。

 この言葉は、1985年2月に行われたあるシンポジウムにおいて、ルイーズ・ダイアモンド(Louise Diamond)さんによって使われたようです。

 異なる国や文化間の交渉の技術は通常、政府間外交の問題ですが、市民レベルの交流活動にも適用可能です。

 これらそれぞれをトラック(Tracks)と名付け、全部で9つのトラックがあげられています。

・政府、つまり外交を通じての平和創造
・非政府組織または専門家、つまり紛争解決を通じての平和創造
・実業界、つまり商業を通じての平和創造
・民間の市民、つまり個人的関与を通じての平和創造
・研究・訓練・教育、つまり学習を通じての平和創造
・社会運動、つまり提唱を通じての平和創造
・宗教、つまり信仰の実践を通じての平和創造
・資金援助、つまり人的・物的資源を提供することを通じての平和創造
・通信手段とメディア、つまり情報を通じての平和創造

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関連リンク:

 厚生労働省 平成16年就労条件総合調査結果の概況 賃金制度
 http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/04/4-2.html

 独立行政法人労働政策研究・研修機構 統計情報
 http://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/doko/h1607/index.html

 日本経済団体連合会 多様化する雇用・就労形態における人材活性化と人事・賃金管理
 http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2004/041/index.html

 株式会社人事教育研究所 評価の疑問 賃金制度
 http://www.sabcd.com/16tinnginn/index.htm

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 では、また、次回お会いしましょう!!

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※記事参照元:日経情報ストラテジー2005年10月号
 コンテンツの著作権は発行人Ken Ishiyamaに属します。

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