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■       2007/ 2/20            第29号

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 今日は、太洋薬品工業(英語社名:Taiyo Yakuhin Co.,Ltd.)です。

 大洋薬品工業は後発ジェネリック薬で1位の売上高と卓越した収益性
をあげています。

 後発ジェネリック薬とは、特許が切れた新薬を代替する薬品です。

 大手医薬品メーカーなどが開発した新薬と同様の成分や効能を持つ薬
品を他社が開発し、新薬の特許有効期間が切れた後に市場に出すもので
す。

 欧米ではジェネリック薬のシェアが数量ベースで50%を超えているそ
うです。

 日本でのシェアは現時点で16%にとどまりますが、今後、新薬の代替
調剤が進めば市場の大幅な拡大が見込まれます。

 何よりも、医療費抑制の有効な手段として普及が見込まれているので
す。

 大洋薬品工業は、創業以来半世紀にわたり医薬品総合メーカーとして、
発展してきました。

 1994年5月稼動の高山工場は、製品の品質保証精度をより一層高める
とともにその量産体制を強化した国内有数の医薬品製造工場です。

 稼動以来、毎年増設を重ね、日々進化して新しい大洋薬品の確立を目
指しています。

■業績推移(百万円)

 順調な成長性が感じられます。

 売上高  229億円(04年3月期)
      250億円(05年3月期)
      291億円(06年3月期)
      338億円(07年3月期見込み)

■経営のポイント

 高齢化の進行で、日本の国民医療費は2025年には約70兆円まで膨らむ
と予想されています。

 その削減に有効と期待されるのが後発ジェネリック薬です。

 ジェネリック薬は、新薬に比べ研究開発のコストが少ないため、薬価
は新薬の7割以下で済みます。

 そのため、患者や健康保険組合の負担を軽減できます。

◇多品種少量生産

 新薬の場合、競争力のある薬を1つ開発すれば長期にわたって多大な
収益が得られます。

 しかし、特許が切れた新薬を代替するジェネリック薬は、製品そのも
のに競争力があるわけではありません。

 ありきたりで、価格も安い商品で利益を上げるためには、生産や販売
に独自の仕組みがなければならなりません。

 大洋薬品が開発、販売するジェネリック薬は458品目と、国内メーカ
ーでは最多です。

 幅広い品ぞろえで、医療機関のニーズにワンストップで対応していま
す。

◇在庫を無価預託

 販売面では新しい仕組みで徹底した効率化を図っています。

 たとえば、在庫を販社に預託して売れた分だけ代金回収するなどのユ
ニークな仕組み=在庫保証制度があります。

 薬価の安いジェネリック薬は利幅が小さく、卸は積極的に扱いません
ので、中小の販社を独自に組織しているわけです。

 大洋薬品は209の販社を抱えていますが、販社に対して1.2〜1.5カ
月分の在庫を無償で預託しています。

 販社が医療機関に販売した時点で、売れた分だけの対価を請求する仕
組みです。

■会社データ:

商 号 大洋薬品工業株式会社

創 業 昭和5年3月

資本金 4億3,000万円

売上高 291億(平成18年3月現在)

株主数 210名(平成18年3月現在)

従業員 333名(平成18年3月末現在)

本 社 〒460-0002 名古屋市中区丸の内二丁目16-29

グループ会社: 大洋グループ

・丸大産業株式会社

・大洋薬品工業株式会社

・大洋ヨーコン建設株式会社

・大洋ハウス株式会社

・株式会社 高山グリーンホテル

・大洋興産株式会社

その他10数社

参照先 → http://www.taiyo-yakuhin.com/

■企業概要:

事業内容:

 医薬品の製造および販売業です。

 効き目も成分も今までと同じな安価な薬=ジェネリック医薬品が求め
られる時代こそ,大洋薬品工業の時代です。

 この分野では売上・経常利益ともトップクラスで、外資系・国内大手
の製薬会社からの生産受託でも圧倒的シェアを誇ります。

主要取引先:

 全国卸(国内32社)・販売代理店(国内209社)他

受託できる製剤:

○長期収載品等薬価動向による製造コストの低減が必要な製品〜固形剤
は少量(30kg)程度から大量(700kg)の生産ラインを有し、オーファンド
ラッグ等の少量生産から年間10億錠を超える製品でも受託可能

○新薬の製造により生産ラインで行き場のなくなった既存製品

○建屋・設備の老朽化により業許可更新対応が困難となった製品

○新規設備投資が必要な製品(自社製造かアウトソーシングかの検討後)

○特殊な設備・高い技術を必要とする無菌製剤〜注射液・凍結乾燥・無
菌粉末充填・プレフィルドシリンジ・造影剤

○独立した区画で製造するセフェム系抗生物質製剤(経口剤・注射剤)
〜固形剤は建屋を含めて完全に分離

○特殊包装・製剤〜液スティック分包/カプセル液充填・バンドシール
/トローチ・速崩錠/ウィークリーシート/ジッパーケース包装/等

○開発段階の新薬の試作、治験薬の製造〜治験薬GMP対応/FDA査
察対応が次の目標中量試作を行う生産技術センター(PTC)の活用

○動物用医薬品(無菌製剤)

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■品質管理

 医薬品には、従来よりGMPに基づく高い品質保証が求められています。

 ジェネリック医薬品の中には、品質保証先発品と成分・効果は同等で
ありながら、薬価は半分以下になるものもあります。

 時代とともにその内容はFDA・EU・WHO基準等とのハーモナイゼーショ
ンの施策に基づき、より一層高度な技術を必要とするものとなっていま
す。

 大洋薬品の製品は、このWHOのGMP概念を導入した最新の設備と技術か
ら生み出されています。

 大洋薬品は、業界初の独自の「大洋薬品工業品質情報集(大洋オレン
ジブック)」を作成しています。

*GMP=Good Manufacturing Practice 医薬品及び医薬部外品の製造管
理及び品質管理の基準です。

 FDA=U.S. Food and Drug Administration 米国食品医薬品局。アメ
リカでは被験者に未承認の医薬品・生物製剤を投与する際にFDAによる
審査と承認が必要です。

■安定供給

 全国の卸32社、提携販売会社209社には、常時1ヶ月分以上の製品在庫
が確保され製品の安定供給がなされています。

 提携販売会社はすべて当社とインターネットを利用した販売管理シス
テムで結ばれ、日々の売上報告・ロット別出荷・在庫数等が管理されて
います。

 適正在庫より少なくなれば自動的に出荷・補充が指示され、絶えず1
ヶ月分以上の在庫が提携販売会社に保管されるシステムとなっています。

 緊急安全性情報が出された際にも、即座に製品のロット番号・納入先
を割り出し、情報伝達が行えるGPMSPシステムを構築しています。

 ホームページ上に展開されたTAIYO DI-NETにより、様々な医薬品情報
をリアルタイムに医療機関に提供する情報伝達サービスを行っています。

*GPMSP=Good Post Marketing Surveillance Practice 医薬品の市販
後調査の実施に関する基準で、新薬だけでなく すべての医薬品が対象
となります。

*TAIYO DI-NET:
 http://www.taiyo-yakuhin.com/system/gate/gate.cgi

■ 製品ラインアップ

 ジェネリック医薬品に必要な条件は豊富な品揃えです。

 大洋薬品は殆どすべての剤形並びに薬効のジェネリック医薬品を開発
し、製造販売しています。

 薬価基準収載品目数は414品目(平成17年4月現在)で国内トップの品
目数です。

 毎年新しい品目を開発し、更に充実した製品構成を目指しています。

■低コスト化

 ジェネリック医薬品の最大の使命は、低価格での製品供給です。

 そのため、最新鋭機器を導入した生産のオートメーション化、ITを駆
使してシステム化した生産計画・在庫管理、効率的な情報伝達体制等、
徹底した効率化・省力化が必要です。

 多品種少量生産のため生産設備の稼働率は低いですが、近年は他社の
生産を受託することで稼働率のアップを図っています。

 現在、次のような大手メーカーなど51社から190品目の生産を受託し
、生産量の17%を受託品が占めています。


・ アベンティスファーマ株式会社
・ キリンビール株式会社
・ グレラン製薬株式会社
・ 第一サントリーファーマ株式会社
・ 塩野義製薬株式会社
・ 株式会社資生堂
・ 第一製薬株式会社
・ 武田薬品工業株式会社
・ 中外製薬株式会社
・ 日本ワイスレダリー株式会社
・ ファイザー株式会社
・ 藤沢薬品工業株式会社
  他

 積極的なIT活用も、コスト削減に大きく寄与しています。

 大洋薬品ではインターネットを利用した医薬情報システム「TAIYO DI
−NET」で、全製品の情報を提供しています。

 大洋薬品は溶出性や開封後の安定性など他社が公開していない詳細デ
ータまで提供し、情報提供が行き届いた会社として評価されました。

 数少ないMRは、副作用などのトラブルが出た場合に、2時間以内に病
院に駆けつけられるよう全国に配備されています。

 しかし、支店、支社はなく、直行直帰体制の勤務で、携行したノート
パソコンから業務報告を行っています。

 積極的なIT活用が、ここでも活かされています。

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$        編    集    後    記
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 社長さんのお話の要約です。

 新薬メーカーは特徴ある製品を開発すれば世界中に販売機会を拡大で
きるが、ジェネリック薬は大型商品も作れないし、特徴も出せない。
 そこで、コストを下げて何でも作り、医療機関が必要とするものすべ
てを、他社よりも高くない値段で提供するというところでしか競争でき
ない。
 だから製造に徽し、生産設備を拡充してものづくりの力を磨くことが
唯一の競争力となる。そして、当社にとって在庫は悪ではない。生産ラ
インでは1年分の在庫をまとめて作り置きするし、販社には潤沢な流通
在庫を保有し、医療機関に安定供給できる体制を整えている。
 低金利の今日、在庫にかかる金利は相対的に安く、それによって実で
きる生産や物流プロセスでのコスト削減効果のほうが大きい。
(新谷重機社長)

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関連リンク:

・日本ジェネリック研究会:
 http://www.ge-academy.org/

・日本ジェネリック医薬品販社協会:
 http://www.adachi.ne.jp/users/niyakuhk/

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 では、また、次回お会いしましょう!!

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※記事参照元:日経情報ストラテジー2006年4月号
 コンテンツの著作権は発行人Ken Ishiyamaに属します。

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