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■         2009/7/31         第35号

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 ワークシェアリング

 ワークシェアリングとは、勤労者同士で雇用を分け合うことで、従業員一人当りの労働時間を減らし、その分で他の従業員の雇用を維持したり、雇用を増やしたりします。

 不況などで企業の業績が悪化した際に、一人当たりの労働時間を減らすことによって企業全体での雇用を維持する雇用維持型と、様々な業務ごとの短時間労働を組み合わせることによって、雇用機会を増やす雇用創出型があります。

 雇用維持型の典型例にドイツがあり、雇用創出型の典型例にオランダがあり、オランダでは、1980年代前半の失業率12%は、2001年には3%を下回るまで低下しています。

 雇用機会に対しては、ワークシェアリングを導入することによって、雇用は増加する傾向があるという分析がある一方、他の制度政策等の影響もあると考えら、ワークシェアリングのみで失業等への効果的な政策になりうるかは注意が必要とされます。

 経済活性化に対しても、ワークシェアリングだけでなく、資源配分の改善、生産性の向上も必要であるといわれます。

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$      ドイツ・オランダのワークシェアリング。
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 ドイツのワークシェアリングは、当初は産業別あるいは業種別に労使協約によって自主的におこなわれました。

 背景には、企業業績悪化による失業者の発生を抑制する目的がありました。

 政策としては、2001年のパートタイム労働及び有期労働契約法があり、同一労働同一賃金を定め、パートへの差別を禁止しています。

 オランダのワークシェアリングとしては、ワッセナー合意(1982年)が有名です。

 これは、政労使の合意として次のように努力するというものです。、

・労働組合は賃上げの抑制に努めます。

・経営者は雇用の維持と時短につとめます。

・政府は減税と社会保障負担の削減、財政支出の抑制につとめ、また企業投資の活性化による雇用の増加を促進します。

 1970年代でのオランダでは製造業部門で生産性の伸びを上回って賃金が急激に上昇し、競争力が失われました。

 1980年代に入っても不況と物価上昇は改善されず、失業率の上昇と社会保障支出の増大が発生しました。

 このような当時の経済状況はオランダ病といわれましたが、ワッセナー合意以降、パートタイマーの比率が83年の18.5%から2001年には33.0%に上昇し、失業率は2001年には2.4%まで下落、実質GDPの伸び率も2%〜4%の安定成長を実現しました。
 労働時間は、合意前の1979年は年間約1600時間ありましたが、1999年には1400時間を割るまでに減少しています。

 しかし、他方では生産性上昇率の伸び率が低く物価は上昇傾向にあり、生産性の改善が課題となっています。

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$      日本ではどうなっていますか。
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 日本でも2002年、政府、日本経営者団体連盟、日本労働組合総連合会がワークシェアリングについての基本的な考え方と、実施のための環境整備の具体化について合意し、また、2009年1月には、日本経済団体連合会と連合の労使双方が導入について議論しました。

 日本におけるワークシェアリング導入には、サービス残業の抑制、労働時間の観念の明確化、フルタイムとパートタイムの差別の禁止、業務領域の明確化などの課題があります。

 フリーターやパートタイム労働者ら非正規雇用者への待遇改正にしても一部雇用対策法が改正されたにとどまり、労働市場全般に亘る対策は十分ではありません。

 また正社員と非正規社員では給与の決め方が違うため、給与削減をどう行うのかという問題もあります。

 2009年1月26日の日本経済新聞の調査では、ワークシェアリングの基本的な考え方については、賛成が13%、どちらかというと賛成が61%、どちらかというと反対が22%、反対が4%となっていました。

 しかし、あなたの現在の職場でワークシェアリングはできると思うかという問いには、できるは7%、おそらくできると思うは29%、おそらくできないと思うは42%、できないは21%でした。

 日本では、雇用維持型ワークシェアリングは比較的スムーズに行われてきました。

 雇用を守るために、仕事の量を減らし、賃金などの労働条件の低下を甘受するということは普通に行われてきました。

 現在、労働側が求めているのは雇用創出型ワークシェアリングです。

 しかし、実現するためには、従業員が、失業者のためなら仕事量を減らして賃金が低下することも受け入れようと考えることが必要となります。

 日本の現時点の雇用情勢においては、失業者だけでなく、低賃金で働いている非正社員にも雇用を、という主張になっています。

 日本の正社員は、非正社員との連帯を本当に受け入れることができるかという問題があります。

 正社員側は、仕事量を減らして雇用機会を増やすことには賛成でも、賃金の低下には賛成していません。

 特に基本給を引き下げるということになると、賞与や退職金などにも影響しますので、正社員の理解を得るのは難しそうです。

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 では、また、次回お会いしましょう!!

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