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■ ヒントと知恵!!
■ ----------- 企業の経営と人事の戦略と戦術
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■ 2016/10/30 第51号
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勝ち組中の勝ち組の企業での過労自殺が報じられました。
?東大卒、電通入社、容姿端麗、と勝ち組と呼ばれる要素をいくつも持っている女性が、
よりにもよってクリスマスの晩に投身自殺をしてしまったのです。
このニュースは日本中のビジネスパーソンに衝撃を与えました。
有名企業だから、給料がいいから、という理由だけで会社を選んでも仕事の本当の楽し
みは味わえないということでしょうか。
では、一体、どんな働き方が幸せなのでしょうか。
過労死は、周囲からの暗黙の強制などにより長時間の残業や休日なしの勤務を強いられ
る結果、精神的・肉体的負担によっておこります。
労働者が脳溢血、心臓麻痺などで突然死することや、過労が原因で自殺すること=過労
自殺などです。
2014年時点で、厚生労働省の統計によると、過去10年ほどのあいだに、過労による自殺
者が約10倍に増え、2013年時点で日本で196人が過労死しています。
働き盛りのビジネスマンに多いとされてきましたが、近年では若者も増加傾向にあり、
40〜50歳代から20歳代にまで広がっています。
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$ 過労死等の労災補償状況
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厚生労働省から2015年度の「過労死等の労災補償状況」が公表されました。
脳・心臓疾患の労災請求件数は795件(前年度比32件増)、業務上と認定された支給決
定件数は251件(同26件減)で、このうち死亡件数は96件(同25件減)となりました。
ここで言う「過労死等」とは、
「業務における過重な負荷による脳血管疾患若しくは心臓疾患を原因とする死亡若しくは
業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡又はこれらの脳
血管疾患若しくは心臓疾患若しくは精神障害」
と定義されています(過労死等防止対策推進法第2条)。
◆精神障害の労災請求件数も増加
精神障害の労災認定については、請求件数は1,515件(前年度比59件増)となり、この
うち自殺件数(未遂を含む)は199件(同14件減)でした。
支給決定件数は472件(同25 件減)となり、このうち未遂を含む自殺の件数は93件(同
6件減)でした。
◆「時間外労働80時間」で立入調査の対象に
過労死等の労災認定については、「死亡・発症前における長時間労働の有無」が判断材
料の1つとなります。
脳・心臓疾患については、発症前1カ月間におおむね100時間の時間外労働があると業務
災害であると判断されやすくなります。
また、精神障害については、発病直前の1カ月におおむね160時間の時間外労働があると
業務による心理的負荷が「強」と判断され、業務災害であると判断されやすくなります。
労災認定についてはこの他にも細かい基準はありますが、長時間労働が長ければ長いほ
ど「業務上である」と判断されやすくなると考えてよいでしょう。
なお、今年度から、労働基準監督署が企業に立入調査に入る際の基準が引き下げられま
した。
これまでは「100時間」の時間外労働が基準でしたが、これが「80時間」に引き下げら
れており、対象が大幅に拡大されています。
◆長時間労働のリスク
長時間労働は従業員も会社も疲弊させてしまい、どちらにとっても好ましくない結果に
つながるリスクが増大します。
恒常的に長時間労働となっていると問題解決の視点が見えにくくなりますので、早期の
改善が必要です。
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$ 初の過労死等防止対策白書
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政府は、平成26年に施行された「過労死等防止対策推進法」に基づき、年次報告書「過
労死等防止対策白書」を初めて公表しました。
この白書は、業界ごとの長時間労働の現状や過労死等の実態を解明するための調査研究
、平成27年度に行われた過労死等防止対策の取組み、民間団体の活動等が記載されており
、過労死や過労自殺の現状や防止策などを280ページにわたってまとめられています。
◆「残業80時間超」企業の割合は
企業へのアンケート調査によると、1年のうち1カ月の時間外労働時間が最も長かった正
規雇用従業員について、過労死ラインとされる時間外労働時間月80時間を超えると回答し
た企業は22.7%でした。
業種別に見てみると、「情報通信業」(44.4%)が最も多く、「学術研究、専門・技術
サービス業」(40.5%)、「運輸業、郵便業」(38.4%)が続いています。
また、残業の発生する理由としては、「業務量が多い」「人員不足」「業務の繁閑の差
が激しい」「顧客からの不規則な要望に対応する必要がある」等を挙げる企業が多くなっ
ています。
労働者への「残業時間別の疲労度蓄積度、ストレスの状況」の調査では、残業時間が長
いほど「疲労蓄積度」と「ストレス」が高いと判定される割合が多く、正社員の36.9%が
高ストレスと判定されたことがわかりました。
◆現状を知るためには周知・啓発が必要
白書では、過労死等の防止のための対策の実施状況が報告されています。
労災認定事案等の分析や、ポスター、パンフレット・リーフレット、新聞広告、Web広
告、Webサイト等による周知・啓発、相談体制の整備等の実績を報告しています。
厚生労働省のホームページでは「過労死等防止対策白書」のダウンロードが可能です。
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では、また、次回お会いしましょう!!
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