情報処理資格の取り方
1.各資格試験制度について
(1)国家資格
法律(特別法)によって、与えられる資格です。取得することにより、国から職業的な地位を保障されるものや、職業的な知識や技術水準が一定以上に達していることを国が認定し、資格取得の資格が法律で定められています。
初級システムアドミニストレータ、基本情報技術者(旧2種)、ソフトウェア開発技術者(旧1種)試験が最初の受験に適しています。ほかに高度情報技術者試験がいくつかあります。いきなり高度資格を受験しても合格は困難です。
初級シスアドは誰でも取得をお勧めする資格です。基本技術者、ソフト技術者は専門家向けです。ソフト会社に就職すると、まず基本情報技術者を取り、次にソフトウェア開発技術者を目指すことが多いと思います。
(2)公的資格
資格付与の一定基準を所轄庁が認可し、それを外部の財団法人などの団体に実施させているものです。代表的な試験制度として次のようなものがあります。
“資格の王道”ページをリンクさせていただきました。
公的資格は他にもありますので、目的に応じて適切に選択することが必要です。
(3)民間資格
法律によって与えられる資格ではなく、民間の任意団体や機関(ベンダーなど)が任意に与えるライセンスです。さまざまな団体や機関が各種の称号を与えています。
民間資格のなかにも職業に直結するものも多く、その業界で広く認知され、その価値を認められているものが多いようです。代表的な民間の試験制度としては、次のようなものがあります。
“資格の王道”ページをリンクさせていただきました。
2.試験合格の意義
実力があれば資格はなくてもよいという考え方がありますが、キャリアを伸ばす(キャリアディベロップメント)観点からは、受験によって自分の力を確認し目に見えない力を資格の形にしておく点に意義があります。
また、資格があれば(それだけで決め手になることはありませんが)将来、就職、昇給、昇進、転職の時に、知識や技術が一定水準以上に達していることの証明になりますので、かなり有利である場合が多いようです。
3.キャリアパスを考えた受験
キャリアパスとは、仕事の経験を積みながら次第に能力を高くする順序、あるいはその目的で職場を異動する経歴を指します。
(1)ユーザーサイドの技術者かシステム開発技術者か
リテラシーを中心にコンピューターを扱いユーザーサイドの技術者を目指す場合は、システムアドミニストレータコース、プログラミングを中心にコンピューターを扱いソフト会社あるいはシステム部門のシステム開発技術者を目指す場合は、基本情報技術者コースが向いています。
(2)システム開発技術者のキャリアパスと情報処理試験との関係
@
就職すると新入社員研修で、基本情報技術者試験合格を目標に勉強を続けるように指導されることが多いようです。
A
配属された職場でプログラマーとして経験を積み基本情報技術者試験に合格し、SEとして再教育を受けたり先輩からOJTで鍛えられたりしながらプログラム設計技術を身につけ、ソフトウェア開発技術者試験合格を目指します。
B
その後チームやプロジェクトを変えながら次第に大きなプロジェクトを経験し、テクニカルスペシャリスト、プロダクションエンジニア、アプリケーションエンジニアの試験をパスして、実力の認められたプロジェクトマネージャーになっていきます。
このようなキャリアパスを前提に受験を考える必要があります。
4.推奨する資格取得コース
どこでも通用するのは国家資格であり、最終的には国家資格の取得がキャリアアップにつながります。
しかし、国家資格はあらゆる分野をカバーしているわけではありませんので、能力開発と将来の進路にあわせて公的資格や民間資格を組み合わせて取得するのが良い方法です。
(1)はじめて基礎知識から学習する場合
<リテラシーを中心に学習する場合>
初級シスアド試験→情報セキュリティシスアド試験→上級シスアド試験
<プログラミングを中心に学習する場合>
基本情報技術者試験→ソフトウェア開発技術者→高度情報技術者試験
(2)目的に応じた資格の取得をする場合
<公的資格>
CG、画像処理、マルチメディア、CAD、データベース、DTP、インターネットなど
<民間資格>ベンダー認定資格
ベンダー製品ごとに技術レベルを認定する資格で、該当する会社の製品を扱うソフト会社などでは必須の資格になっています。(ベンダー製品のシェアによって時代と共に変遷しますが、現状では、マイクロソフト社のMCP、オラクル社のオラクルマスター、シスコシステムズ社のシスコ技術者認定試験などがお勧めです。)
5.試験の準備の仕方
(1)合格最低点を超えればよい。
情報処理技術者試験の場合、推定70点前後(年度によって異なる)の得点で合格できます。
この得点を獲得するには、うっかりミスや覚え違いなどの減点を考慮しますと、80%理解を目指すことが必要です。
過去何回か試験の1週間前に模擬試験を実施し合格した人との関係を調べてみますと、意外なことかっています。模試で80点を超えた人には合格した人が多い、70点台の人の合格率はあまり高くない、一方で60点台の人の中から合格者が毎年出る、ということです。
80%の理解を目指すというのは、80点を超えた人には合格者が多いからである。60〜70点台の人については、直前の1週間前に集中的に学習して追い込んだ人が合格できるということではないでしょうか。
(2)勉強は短期間に集中して行う。
情報処理技術者試験は半年に1回のペースで実施されています。
半年で合格するスケジュールを立てて日々実行することです。失敗したら徹底的に弱点をカバーしてあと1回で合格するように努力することです。最初から長期の計画を立ててダラダラと勉強しても合格は困難です。
4月と10月の試験日に最高の状態に持っていくことです。勉強のペース配分と直前の追い込みが大きなポイントです。
(3)3段階のスケジュールを立てる。
<基礎力充実期(3カ月)>
そろえるもの:情報処理用語小辞典、入門書(基礎問題付き)
入門書を通読して分からない用語を一歩踏み込んで理解し情報処理や情報システムの全体像をつかみます。基本情報技術者については別途、プログラミング学習も必要です。
<実力養成期(2カ月)>
そろえるもの:標準問題集
試験問題に目を通して合格に必要な実力、水準を確認します。基本情報技術者については別途、計算問題、フローチャート、アルゴリズム学習も必要です。
<受験対策期(1カ月)>
そろえるもの:過去問題集
実際に出題された過去問を自分で解いて採点します。
|